下町のヲジサン

 入社1年目に、ある案件で一緒に仕事をしたKさんが、帰りのバスの中に居るのを見つけた。1年目に一緒に仕事をして以来、特に関わることも無くなった。Kさんはスキンヘッドである。丸い縁なしのメガネをかけている。そのメガネは私が初めて見てから、6年経った今でも同じものだろうと思う。口がうまく、世渡りが上手そうという印象を私はKさんに対して抱いている。口はうまいが、本当のところ、何を考えているのかわからない。プライベートも謎だ。

 バスから降りて、駅の構内まで、Kさんの後ろを、少し離れて歩く。混雑する構内。人の波に飲まれるであろうことを予期する。人波の中、Kさんはなんとなく堂々と歩いており、何故だか人が接近しているようには見えなかった。そうか、堂々と歩けば良いのだ。私も真似しようと思った。

 人の波に飲まれないように堂々と歩いてみた。幾らか、精神的に楽になったような気がしないでもない。

背筋を伸ばして歩くことは、医学的にも良いことであるような気がする。人間の神経は、背骨に沿って脊髄があり、脊髄の先端に神経系の中枢である脳が位置しているという構造を持つ。したがって、背骨が曲がって猫背であることと、ピンとまっすぐであることの間には、精神活動にもたらすなんらかの差異が認められるように思われる。現に私が背筋を伸ばすようになってからは、以前ほど精神が悪い状態にならずにいる。

きっかけとなったこの出来事は2017年3月上旬のことであるから、私が背筋を伸ばし始めてから、約半年になる。悪くはなっていないと思いたい。

背筋を伸ばしてあるけば、良い方向に行くかもしれないと、伝えたい。

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