桜の兵隊のアスパルテーム

後ろを振り返ると満開の桜から2枚の花びらが無風の中、落ちてゆくのが見えた。風が吹いていたわけではないから、あの花びらたちは自らの意思で散り落ちたのであろうか。

四月から電車がより混むようになった。奴隷は満員の電車に乗せられ、大きなビルへと向かう。駅から会社に向かう人々の群れを見ているとうんざりする。奴隷を必要とする社会の中では彼らはこの社会の中に組み込まれた歯車だ。人間ではない。彼らは安い給料を貰って生きている。
彼ら一人一人にひとつひとつの生活があるとは想像できない。彼らは意志を持たない兵隊に思える。
自分の意志を持った能動的な存在は自分だけだと思う。

僕はガムを買った。裏の表示にはアスパルテームやマルチトース等の合成甘味料の名前が記載されていた。僕はガムを噛んだ。平面的な嫌な甘みがガムを吐き出してもずっと口の中に残った。そしてなんだか吐き気がする。
これは兵隊の食べ物だ。このガムは意志を破壊する。もう食べるのはよそう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました